著書紹介!
企業倒産予知情報の形成
中央経済社
ISBN: 4-502-35033-8
定価 5,200円(税別)
第1刷
1999年3月26日
第2刷 1999年5月20日
第3刷 2000年6月20日
平成11年度日本リスクマネジメント学会賞受賞
目次
まえがき
- 序論
- 問題提起
- 本書の目的
- 企業倒産予知情報の役割
- 企業倒産の定義
- 企業倒産への対応
- 法的対応
- 経済的対応
- 会計的対応
- 先行研究における企業倒産の定義
- 海外の研究における企業倒産の定義
- わが国の研究における企業倒産の定義
- 本書における企業倒産の定義
- 本書における分析データ上の企業倒産の定義
- 本書における企業倒産の定義
- 企業倒産予知に関する先行研究
- 企業倒産予知研究のアプローチ
- 非財務的アプローチによる倒産予知研究
- 清水龍宝の研究
- 亀井利明の研究
- 黒川行治の研究
- 財務的アプローチによる倒産予知研究
- Edward I. Altmanの研究
- 高橋、黒川、渡瀬の研究
- J.Ohlsonの研究
- 戸田俊彦の研究
- 後藤実男の研究
- C.L. Nortonの研究
- 森平爽一郎の研究
- 先行研究において残されている課題
- 財務数値を用いた倒産判別モデルの開発
- 企業倒産予知に有用な財務指標の識別
- 先行研究におけるアプローチ上の問題点
- 問題点の克服と本研究における分析アプローチ
- 倒産予知情報の形成に有用な財務指標の識別
- 識別財務指標による倒産判別モデルの開発
- 倒産判別に関する先行研究モデルの検討
- わが国の倒産に適合する判別モデルの検討
- 新たな倒産判別モデルの開発
- 倒産判別モデル開発における課題
- 財務数値を用いた倒産判別モデルの限界と役割
- 倒産判別モデルの判別能力の評価
- 時系列分析によるモデルの判別能力の分析
- 倒産判別モデルの判別能力の比較
- 倒産判別モデルの判別能力の評価
- 倒産判別モデルの限界と課題
- 倒産要因と倒産判別モデル
- 倒産判別モデルの限界
- 倒産判別モデルの課題
- 倒産判別モデルの役割
- 倒産判別モデルの限界克服のためのアプローチ
- 企業実態と財務数値の乖離
- 企業倒産予知における資産の概念
- 企業倒産予知における負債の概念
- 企業倒産予知における企業集団の概念
- 倒産判別モデルの限界克服のためのアプローチ
- 財務数値修正手続
- ケーススタディによる修正財務諸表の作成
- 財務諸表修正アプローチの評価
- 財務数値修正アプローチの役割
- <総括と展望
- 総括
- 研究における成果
- 企業倒産予知情報形成のための一連の手続
- 倒産予知研究の展望
参考文献
付 録
A 一般加法モデル出力結果
B 散布図
C
箱ひげ図
D 業種別モデル 予測値・残差プロット図
E 規模別モデル 予測値・残差プロット図
F 企業情報専門機関と企業データ
まえがき
複雑な社会システムの中で、企業倒産が産業社会に与える影響は極めて大きく、このため企業倒産を的確に予知しうる情報が広く求められている。こうした情報要求の高まりにもかかわらず、今日までのところ、わが国における企業倒産予知に係る研究は、極めて未成熟の状況にあるといえる。
本書は、これまでにない大量の財務データを用いて、企業倒産の実証分析を行い、わが国特有の商習慣や制度会計の現状をも十分に考慮しつつ、企業倒産予知情報の形成のための理論と手法の構築を試みたものである。
本書の特徴は、これまでの財務分析における種々の常識を打ち破ったところにある。企業倒産予知のみならず企業の業績評価のために日常的に用いられている財務分析では、ROEや当座比率といった財務比率が有用であるとされてきた。また、財務比率は、業種や企業規模によって平均値に差があり、したがって業種や企業規模を超えて財務比率を比較することは意味をもたないと言われてきた。しかし、それらについては、大量の財務データによって実際に検証されたことはなく、実務における経験則に過ぎない。
本書はもとより、先行研究やこれまで一般的に用いられてきた財務分析における常識を否定することを目的としているものではない。本書は、あくまで、これまで有用とされてきた財務比率以上に企業の倒産兆候を明らかにする財務指標が存在するのではないか、また企業が倒産に至る過程でみせる財務指標の悪化傾向には、業種や規模を超えて共通のものがあるのではないかと考え、大量の財務データを用いて実証検証を行い、それらを科学的に明らかにしたものである。